アメリカ・トップVC:ベッセマー・ベンチャーパートナーズの概要、ヘンリー・フィップスの略歴、ポートフォリオの特徴

ベッセマー・ベンチャーパートナーズ海外企業

ベッセマー・ベンチャーパートナーズの概要

ベッセマー・ベンチャーパートナーズ(Bessemer Venture Partners)について調べてみました。この会社のポートフォリオを通じて、ベンチャー企業のビジネス、サービスを調べていきたいと思います。

LinkedIn、Shopify、Boxなど、テック企業領域へ興味を持っているトップVCです。

シードステージ、アーリーステージ、グロースステージの企業へ幅広く注力しており、特にエンタープライズ、コンシューマー、ヘルスケア分野に重点を置いています。

創業者の略歴

1911年にヘンリー・フィップス(1839年9月~1930年9月)がファミリー・オフィスとしてベッセマー証券を設立しました。

*ファミリー・オフィス(アメリカで一般的に使われている概念で、資産家一族の資産管理を行う運用会社)

ヘンリー・フィップスはカーネギー・スチール社という鉄鋼会社の共同創業者で、アメリカ史上の大富豪100人の1人とされています。

ピッツバーグで育ち、14歳で学校を中退、宝石商の見習い、鉄や鉄道の会社の使いっ走りを経て、アンドリュー・カーネギーとともにカーネギー・スチール社を設立しました。

ちなみに、アンドリュー・カーネギーは「鉄鋼王」と呼ばれ、ジョン・ロックフェラーを超えて最も裕福なアメリカ人となった期間があります。ベッセマー法という安価で効率的な鉄鋼の大量生産を実現したのと、原材料の供給者を全て垂直統合しました。

1901年、カーネギー・スチール社はUSスチール社と合併し、USスチール社は世界で初めての10億ドル企業となりました。アンドリュー・カーネギー及びヘンリー・フィップスはカーネギー・スチール社の株式を売却し、大富豪となりました。

なお、鉄鋼業は、重工業の発展のための需要増加がある中、巨額の設備投資が必要なため、損益分岐点が高く、寡占指向が強い業界であり、モルガン財閥により独占が進められました。

1901年のUSスチール社の圧延鋼材の米国内シェアは70%以上を占めていました。

カーネギー・スチール社の成長の鍵となったベッセマー法の発明者ヘンリー・ベッセマーの名をとって、1911年にベッセマー証券を設立し、ヘンリー・フィップスはバイアウトで得た資金を他の起業家へのサポートとして利用しました。

1974年にベッセマー証券はファミリー・オフィスの枠を超えて、ベッセマー・ベンチャーパートナーズを設立しました。

ベッセマー証券が設立された1911年はポーランドで有名なマリ・キュリーがノーベル化学賞を受賞した年です。また、日本では長野県で稗田山崩れ(ひえだやまくずれ)という日本三大崩れの1つが起きた年です。

ポートフォリオの特徴

ベッセマー・ベンチャーパートナーズのホームページに表示される会社を眺めてみると、LinkedIn、Shopify、twitch、Pinterestなど、世界で有名なITサービス企業が次から次へと出てきます。

インドやイスラエルにも拠点を置き、テクノロジー企業との接点が多いものと思われます。ポートフォリオのうち、3社を少しだけ紹介します。

Home
We partner with audacious entrepreneurs building enduring businesses.
  • Bright Wheel

質の高い早期教育をサポートするためのプリスクール、保育園、放課後のプログラムのプラットフォームを運営しています。保護者や先生が子供の学習状況を把握したり、教育のプロセスを自動化する機能を備えています。

  • Axonius

情報システム部門やセキュリティ部門が、端末を管理するのをサポートするサイバーセキュリティーの資産管理プラットフォームを運営している会社です。研究開発チームはテルアビブに置かれています。

  • Abridge

病院での会話を記録し、その記録を重ね、機械学習により健康維持に役立てるソリューションを提供している会社です。診察時にスマホに会話を記録し、Abridgeのアルゴリズムによりメモを作成し、そこに付加価値を与えています。

一方で、ベッセマー・ベンチャーパートナーズは、Apple、Facebook、paypal、zoomなどへは興味を持ちませんでした。AppleのPre-IPOでの参入の機会に「法外に高額」として見送ってます。Anti-Portfolioとして見送った銘柄やその理由を開示しているユニークなVCです。

Anti-Portfolio
Honoring the companies we missed.

どんな会社に興味を持っていて、タイミングや注力している分野など、勉強していければと思います。

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