Shapeways(シェイプウェイズ)の概要と沿革
Shapeways(シェイプウェイズ)を紹介します。
シェイプウェイズは3Dプリントのマーケットプレイスを提供している会社です。

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)などの会社から興味を持たれています。アンドリーセン・ホロウィッツについては、次のコラムでご紹介してますので、一緒にご覧ください。
3Dプリントは、プラスチックなどの素材を設計図通りに立体のモノに形成するようなイメージを持たれていると思います。
それをどのようにサービスとして提供しているか、あまりイメージがつきません。
3Dプリンターを販売しているのか、3Dプリンターから出力されるモノを販売しているのか、後者であれば自分で設計図を作らなければいけないのか。

シェイプウェイズは、2つの方法で3Dプリンターのアウトプットを提供しています。
1つ目は、購入者自身が3Dの設計図を用意して、それをアップロードして、素材などを選択することで、簡単に立体のモノを購入できます。
何かの部品などを試しに作ってみたいけど、大量に作る必要はなく、少量で足りる場合に、自分で設計したファイルをアップロードして、3Dプリンターで形成してもらえます。
2つ目は、マーケットプレイスで誰かが販売している3Dの設計図をもとに、その立体のモノを3Dプリンタで形成し、購入するものです。
シェイプウェイズのWebサイト上で、気になる部品や商品を選んで、それを購入することができます。
これによってモノを試作・製造するにあたって、そのノウハウを持った組織や、設備を持った会社でなくても、モノづくりができるようになりました。モノづくりの民主化です。

何かの部品や、大量生産されていない商品は、それを1つだけ欲しい場合に、どのように製造、購入したらいいかハードルが高くなります。
その際に、自分で設計図を用意するには専門的な知識が必要になりますので、3Dプリンターを利用しづらいのですね。
しかし、すでに多くの設計図が用意されているのであれば、欲しい形の欲しい素材の部品や商品を簡単に購入できるなら、ハードルが大きく下がります。
シェイプウェイズのマーケットプレイスでは3Dプリンターによる製造、配送、代金の決済、カスタマーサービスを行い、設計図を提供したデザイナーにも報酬が支払われます。
現在、シェイプウェイズでは、プラスチック、金属、セラミックなど90種類以上の素材を選択でき、また、1,000万以上の設計図が用意されていて、簡単に注文し、入手することができます。
シェイプウェイズは、2007年にフィリップス社(オランダ)からスピンオフしてスタートしました。フィリップス社は、日本では消費者向けの電気シェーバーや電動歯ブラシで有名ですが、医療機器の技術が高く、CT(コンピューター断層撮影)、MRI(核磁気共鳴画像法)、AED(自動対外式除細動器)などの技術を持っています。
創業者はPeter Weijmarshausen、Robert Schouwenburg、Malleen Vogelaarの3人で、フィリップス社のデザイン部門でシェイプウェイズのアイディアを積み重ねました。
CADファイルをシェイプウェイズのWebサイトに送信することで、3Dプリントすることができるサービスを2008年から開始しました。
2021年4月、シェイプウェイズは、Galileo Acquisition Corp. と合併しニューヨーク証券取引所に上場することを発表しました。
シェイプウェイズの利用方法と特徴
次の手順で3Dプリントマーケットプレイスにおいて、商品の販売ができます。
- アカウント作成
- ユーザー設定
- ショップ作成
- 3Dデータのアップロードと出品
「ユーザー設定」において、住所・クレジットカード情報を入力しておくことで、別の人が製作した3D商品を購入することもできます。
3Dの商品を販売するにあたっては、下記の設定を行う必要があります。
- 販売許可
- 商品説明
- 検索のタグ設定
- サイズ・規格のバリエーション設定
- 材質の設定
- 価格設定
- 同じアカウントの類似商品のまとめ
- カスタマイズの有無
- 画像設定
シェイプウェイズを利用するメリットとしては、オンデマンドの3Dプリントを利用することで、 信頼できる品質を確保でき、また、組み立て時間の短縮が図れます。
また、90種類以上の素材と仕上げから選択できるため、プラスチックから、スチール、アルミニウム、その他の貴金属まで、いろいろなケースにも対応できます。
現在、2,000万個以上の部品を製造し、160ヶ国、100万人以上の利用者にサービスを提供しています。

シェイプウェイズの3Dプリントマーケットプレイスでは、次のカテゴリーが用意されています。
- テクノロジー
RCカー、ケース、カメラ&ビデオ、エアソフト&ペイントボール、ドローン
- ゲーム
テーブルトップ&ウォーゲーム、ダイス、ボードゲーム、おもちゃ、デスクトイ
- ミニチュア
乗り物、汽車、艦船、フィギア、飛行機
- ジュエリー
ペンダント、リング、ブレスレット、ピアス、男性用アクセサリー
日本の類似会社
日本においても次の3Dプリントのマーケットプレイスが存在します。
- 合同会社DMM.com「DMM.make」
DMM.comが、主にフィギュア・模型の3Dプリントのマーケットプレイスを提供しています。3Dモデルのデータをアップロードする以外の値段設定、販売手続などはDMMの方で対応してくれます。
以前は、株式会社カブクが「rinkak」という3Dのマーケットプレイスを提供していました。しかし、2020年8月にサービス終了となっています。

3Dプリントのマーケットプレイスが一般的に利用されるようになれば、モノづくりに対するハードルが下がり、モノづくりが一般的になっていきます。このサービスの動向も注目が必要です。
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