Plaid(プレイド):フィンテックのインフラとなる金融機関の情報とアプリを連携するAPIを提供しているサービス

フィンテック海外企業

フィンテックのインフラとなるAPI提供

2020年、クレジットカード会社最大手のVisaが、フィンテックのPlaid(プレイド)を買収しようとしましたが、独占禁止法の制限を受けて買収を断念しました。

日本で使われている国際ブランドのクレジットカードはビザ、マスター、JCBが有名です。ビザは会社の時価総額で、トヨタ自動車の2倍くらいの価値がある会社です。

その会社が、なぜプレイドを買収しようと考えたのでしょうか。このプレイドという会社はどういう会社なのか、紹介していきます。

Plaid: Enabling all companies to build fintech solutions
Plaid helps all companies build fintech solutions by making it easy, safe and reliable for people to connect their financial data to apps and services.

2018年にアメリカのトップVCのアンドリーセン・ホロウィッツがプレイドとパートナーとなっています。アンドリーセン・ホロウィッツについては合わせて次のコラムをご参照ください。

ファイナンスとテクノロジーを掛け合わせたフィンテックという言葉を目にすることが増えました。ファイナンス領域の決済・送金、投資、仮想通貨などをデジタルやAIなどのテクノロジーを活用したサービスが拡大しています。

カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くプレイドは、デジタルの金融システムのインフラを構築している会社で、利用者が目にすることは少ないです。

アメリカで広く利用されているVenmo、Chime、Acornなどのサービスを利用すると、その裏ではプレイドの技術を利用していることになります。

とは言っても、日本ではあまり馴染みがないので、どんなサービスか分かりませんね。

Venmoはペイパルの子会社で、個人間の送金ができるモバイルアプリです。アカウントに紐付けたデビッドカードを発行して、アプリを通して支払いや個人間の送金ができます。

Chimeは手数料無料のモバイルバンキングサービスです。店舗を持たないで当座預金や普通預金の口座などの銀行サービスを提供してます。

Acornsはお釣りを投資に回すサービスです。買い物でカード払いした際に、1ドル以下の小銭をいくつかのポートフォリオへ投資するサービスです。

これらのサービスを支えるものとしてプレイドのネットワークが利用されています。

アプリのユーザーの銀行口座と、フィンテック企業のアプリを繋げることで、銀行口座を利用した取引、残高の確認、支払いが可能になっています。

ユーザーとしては単純にVenmoなどのアプリを利用している認識しかありませんが、プレイドを通して銀行サービスを利用しています。

プレイドのサービスをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携できるようにしており、多くのフィンテック会社に利用されています。

2013年にZach Perret(ザック・ペレ)とWilliam Hockey(ウイリアム・ホッケー)の2人がプレイドを設立しました。

ザック・ペレはデューク大学を、ウイリアム・ホッケーはエモリー大学を卒業した後、プログラミングが好きで、空き時間にプロジェクトに取り組んでいました。

その中で、自分達が支払っている費用の内容が不明確だったことから、財務管理のツールを作ることにしました。そのツール自体はうまくいきませんでしたが、アプリを銀行口座と連携させる仕組みを学びました。

銀行口座との連携させることに難しさがあったため、他社がアプリ開発をして銀行口座を繋げる際に、同様の課題があることに気がつきました。

そこで、その仕組みをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)として利用するニーズが大きいものと考えました。

プレイドの利用方法

新しいフィンテックのアプリを見つけてダウンロード

家計簿をつけたり、友人にお金を送金するため、何千ものアプリから使いたいものをダウンロードします。

ダウンロードしたアプリを支えるプレイドの仕組みを理解

プレイドは、ユーザーが利用するアプリと、ユーザーの銀行情報を共有するためのツールを提供しています。

Venmo、Chime、Acorns以外にも次のようなアプリがあります。

Digit(デジット)は財務データを利用して、毎日少しずつ節約できるツールです。

Pillar(ピラー)は、アカウントのデータを活用して、ローンの早期返済のアドバイスを提供します。

プレイドから銀行口座へ連携

プレイドを使って、金融機関のアカウントをアプリに連携すると、そのアカウントに関連するユーザー名とパスワードの入力を要求されます。その後、プレイドがユーザーのアカウントを使用するアプリにリンクし、データ共有できます。

セキュリティ技術

金融機関のユーザー名やパスワードをアプリで共有することはありません。ユーザーが財務データの共有を許可すると、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)によって、ユーザーの金融機関からアプリにデータを転送します。

ファイナンシャルライフの構築

ナショナルバンク、ローカルバンク、クレジットユニオン、投資銀行、デジタルバンクなど、どの銀行に口座を持っていても、ユーザーが使いたいアプリと銀行のデータを簡単に共有できます。

ユーザーは無料で利用

金融機関の口座をVenmoやDigitなどのアプリに接続すると、アプリ提供側がプレイドへの連携の料金を支払っていて、ユーザーへ料金を請求することはありません。

日本の類似会社

日本でもPayPay、マネーフォワード、ウェルスナビなど、さまざまなフィンテックのサービスが存在します。

API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の提供を行なっている会社を2社紹介いたします。

  • GMOあおぞらネット銀行株式会社

銀行機能をパーツ化して、事業者のサービスに必要な機能だけを組み合わせることができるサービスを提供しています。ユーザーの口座残高、入出金明細の照会、振込や振替などの自動化に利用できます。

API接続サービス | BaaS byGMOあおぞら
GMOあおぞらネット銀行のAPI接続サービスのご案内です「すべてはお客さまのために。No.1テクノロジーバンクを目指して」をコーポレートビジョンに掲げ、サービスを提供して参ります。
  • 住信SBIネット銀行株式会社

三井住友信託銀行とSBIホールディングスの合弁会社で、日本の銀行として初めてAPIを提供しました。マネーフォワードと連携するなどフィンテックの導入を進めています。

日本の銀行として初めてAPIを開発、FinTechを牽引するSBIグループの新たな挑戦
 日本の銀行として初めてAPIを提供し、マネーフォワードと連携するなどFinTechの導入を加速させてきた住信SBIネット銀行。2016年に公開したAPIは短期間で開発が完了した。さらにSBIグループでは、住信SBIネット銀行で培ったAPI提供のノウハウを地方銀行など他の銀行に提供するため、2017年2月、SBI Fi...

注目を集めているフィンテックのサービスですが、そのインフラとなるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を提供することで、サービスに欠かせない基礎となります。日本では、どの会社がインフラの部分を押さえるか、非常に重要なことです。しっかりと注目していきたいと思います。

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