Neighbor(ネイバー)の概要
ネイバーは、ピア・ツー・ピア型セルフストレージ(個人が所有するモノを保管する場所の貸し借り)のオンラインマーケットプレイスを提供するアメリカの企業です。
2017年にPreston Alder、Colton Gardner、Joseph Woodburyによって設立され、モノを預けたいと考える人と、預かるスペースを持っている人をつなぐプラットフォームを構築しました。
Preston Alderは学生時代に、海外でのインターンシップへ行く際、荷物を安価に保管する場所を探せず、友人のガレージの余ったスペースを利用しました。
友人の家までは時間がかかり、その移動の際に、もっと近くで安価に、短期間だけ荷物を預かってくれる人がいるのではないかと考えました。
Public Storage、Extra Space Storage、CubeSmartなどの従来の個人のレンタルスペースの競合他社に比べて半額で提供していて、その収益の85%を保管スペースを提供している人(ホスト)に還元しています。
個人の所有物などを貸し出すシェアードエコノミーは、いろいろな種類のビジネスで展開されています。
自動車による移動やフードデリバリーのUberや、住宅の空き部屋を利用した宿泊サービスのAirbnbなど、使い勝手が良く、安価でサービスを受けられる特徴があります。
ネイバーは従来のトランクルームやレンタルスペースのサービスを、オンラインにて収納スペースを有する人と、収納スペースを探している人を繋げています。
ガレージ、地下室、古い納屋、クローゼットなど、広いスペースから空いている小さなスペースまで、幅広い選択肢の中から、使っていないスペースを貸し出すことで収益を獲得することができます。
スペースの借り手としても、自動車やボートなどの大きなモノを置くスペースが欲しい人もいれば、段ボールを数個保管したいと考える人もいます。それぞれの要望に応じたスペースが、家の近くで安価に利用できるというメリットがあります。
ネイバーのプラットフォームの利用方法・特徴
利用方法
保管スペースの貸し手(ホスト)は、場所・広さ・機能に応じて、自ら価格を設定できます。
決済手数料やシステム利用料として、予約総額の4.9%と、払い出し毎に0.30ドルの処理手数料がかかりますが、従来のセルフストレージ施設の管理料を大幅に下回っています。
ホストは、サイズ・種類・月額レンタル料などの貸し出すスペースの説明を無料でWebサイトに掲載できます。また、写真を掲載することができ、その他の詳細情報を公開できます。
ストレージを必要としている借り手は、利用可能な都市、サイズ、保管場所の種類、保管期間、月額料金などで検索を絞り込むことができます。
スペースの種類としては、ボート、自動車、トレーラー、RV車など、大きいなものが置けるスペースの割合が大きいです。その他、家庭用品、大型家具、中小企業の在庫置き場として利用されています。
安全性・信頼性の確保
レンタルスペースの貸し手にとっても借り手にとっても、保管場所や、保管するモノが信頼できて安全でないと、利用しにくいものとなります。安全で安心なコミュニティを提供することが、このサービスのキーとなります。
そこでまず、ネイバーは、貸し手と借り手の両方の身分証明を適切に行います。
公式の身分証明書・パスポートの提出を要求していて、ユーザーは誰でも身元調査を依頼できます。ホストは借り手のチェックを依頼でき、借り手はホストのチェックを依頼できます。
また、ユーザーは自分の経歴やプロフィール写真を追加することができます。評価やレビューを表示することで、質の高いホストやリストを提供できるようになります。
また、銃器、毒物、薬物など保管が禁止されているモノのリストも用意されています。
スペースを借り手は、預けるモノの一覧表を提出する必要があります。取引前にネイバーと貸し手の承認が必要です。
なお、ネイバーはFacebookの繋がりを利用して、ユーザー間の信頼関係の構築を目指しています。見知らぬ人同士の空いてるスペースの貸し借りを行うマーケットプレイスを活発化させようとしています。
なお、借り手が預けたモノが、ルールを破っている場合、退去・罰金を課せられます。ユーザー同士の交流が活発になると、ルール違反する場合にネイバーを利用しなくなる可能性があり、住宅街より工業地帯の倉庫を利用することになります。そういったアプローチで、安全性・信頼性を確保しようともしています。
保険
貸し手は預かるモノのすべてを検査でき、保管を拒否でき、また、万が一、家が壊れたり、怪我をした場合には、最大で100万ドルの保険がかけられます。借り手側も、預ける荷物に最大25,000ドルの保険をかけられ、便利さと安全性を確保しています。
日本の類似会社及び海外の競合企業
- モノオク株式会社
「モノオク」は6,000円/月から利用できるサービスで、個人宅に荷物を預けられる「荷物を預けたい人」と「荷物を保管したい人」を繋ぐサービスです。スペース利用料の10%を手数料として借り手がモノオクへ支払っています。
貸し手としては、空きスペースを有効活用でき、初期費用がないため、副収入を得られるものとしてハードルが低く始められます。借り手の希望としては、60%以上の人が1年以上の利用を希望しているため、安定的な収益が期待できます。
- 株式会社LIFULL SPACE「収納シェア」
不動産賃貸のLIFULLホームズで有名なLIFULLのグループ会社で、LIFULLトランクルーム「収納シェア」というサービスです。個人間で収納をシェアするサービスで、トランクルームよりも低価格でご利用できます。
アメリカやそれ以外で、同様のサービスを提供している競合企業は下記の通りです。
アメリカ:
- Spacer(オーストラリアで創業し、米国にも拠点がある)
- Stowit
アメリカ以外:
- Stashbee
- Costockage
日本でもトランクルームをよく見かけますが、それに加えて個人間で保管スペースの貸し借りが行われているようです。
トランクルームが急激に増加していることから、それよりも利便性が良く安価なサービスとして認知されれば、ネイバーのようなサービスが日本で拡大していく可能性はあります。
ぜひ一度利用して、使い勝手を試してみたいものです。
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