Good Eggs概要
アメリカのトップVCのポートフォリオに含まれているGood Eggs(グッドエッグス)という会社を紹介します。
Good Eggsは2011年に設立され、地元で採れる有機野菜、安全な肉や魚などの食料品を集めたオンラインでのマーケットプレイスを運営している会社です。
地元の生産者と協力し、農産物などを収穫してから短時間で消費者の住宅へ届けることで、新鮮な食料品の供給を行うことができるようになりました。当日配送も行っていて、注文した後にも注文を追加できます。また、配送に利用した箱や冷凍食品のためのパックは回収して再利用しています。
現在、サンフランシスコ、イーストベイ、ペニンシュラ、サウスベイを含むベイエリアでサービスを提供しています。
2011年にRob SpiroとAlon SlantがGood Eggsを設立し、2013年にセコイア・キャピタルがパートナーとなっています。
Rob SpiroはGoogle社の商品戦略・デザインに従事し、また、Alon SlantはCarbon Five社(ソフトウェア開発会社)の創業者・現オーナーです。世界有数のIT企業に勤務していたり、ソフトウェア開発の創業者であったりと、テクノロジーに知見のある創業者によって設立されたんですね。
IT業界に従事していたRob SpiroとAlon Slantは、食に対する疑問や課題を感じていて、テクノロジーの観点から地域食材と地域住民を繋げることを試行しました。
サンフランシスコの湾岸エリアでサービス提供を始め、その後、ロサンゼルス、ニューオリンズ、ニューヨークなどの大都市に拡大しました。複数の大都市に展開すれば、ビジネスが拡大できると想定したようなのですが、うまくいきませんでした。サービス提供エリアが増えると食品供給・配送などがうまくいかず、大きな損失を計上することになりました。
2015年にロサンゼルス、ニューオリンズ、ニューヨークでの事業を停止し、サンフランシスコの湾岸エリアにおけるサービス提供に集中するようになりました。そのタイミングで現CEOのBentley HallがCEOに就任しています。
2018年に資金調達(5,000万ドル)し、さらに2021年に1億ドルの資金を調達し、南カリフォルニアでローンチする予定であることを発表した。
ビジネスの特徴
GoodEggsの競合となりそうなサービスとして、インスタカート社が思い浮かびます。食品を宅配するサービスとしては、食品や日用品の買い物代行のサービスを提供している会社です。
600社以上のスーパーマーケットなどと提携して、利用者からの注文を受けて、インスタカートのスタッフが提携先の店舗で商品を買って宅配するサービスを行っています。
Good Eggsは買い物代行ではなく、地元の農産物などを中心に、プラットフォームで販売する商品種類や数を増やしていき、地元の食材と地元の住民を繋げる、食料品の宅配のサービス、プラットフォームです。
エリアと顧客層を絞ってサービスを提供しています。サンフランシスコの湾岸エリアで、定期的にある程度のボリュームの注文をするファミリー層に的を絞りました。配達を行うのは主に自社の従業員が行なっています。エリアを限定していることから、自社倉庫で管理・配達することができます。宅配を行う会社の多くは、物流業者に外注してそうですが、GoodEggsでは自前で配達することが多いようです。
Good Eggsのサイト上、カテゴリーとして下記のタブが表示されていて、種類豊富なメニューが用意されています。
- ミールキット
- 野菜・果物
- 乳製品
- 肉・魚
- 惣菜
- お酒
- スナック
- 飲み物
- ベーカリー
- パントリー
- ヘルス&ホーム
当サービスの使用感として、youtubeでレビューしている人がいました。
メリットとして、食材がフレッシュで、すぐに届くことが挙げられている一方で、デメリットとしては金額が高い、セレクションが少ない、冷凍食品も他のものと同封されてる、曜日によって注文できる食材が限られているということが挙げられていました。
利用方法
まず、サイトを開くとポップアップで、郵便番号を入力するようリクエストされます。そこからアカウントを作成します。(アプリからも登録可能)
次にお買い物の日にちを選択します。さらにマーケットプレイスを閲覧して、商品と配達時間を予約します。締め切り時間までであれば、追加して注文することができます。
配達先は自宅やオフィスを選択でき、不在の場合は、GoodEggsが預かるか、置き配を選択できます。前回配達時に利用したパッケージなどを置いておけば、スタッフがピックアップします。
注文金額はミニマム30ドルで、80ドル以上の注文には2.99ドル、80ドル未満の注文には7.99ドルの配送料がかかります。さらに、土曜日から月曜日は4ドルの追加料金となります。(一部の地域では、早朝の配達も追加料金2ドルがかかることもあります)
日本における類似サービス
食材の生産者と消費者を繋げるサービスとして、日本では「食べチョク」「ポケットマルシェ」が運営されています。これらの会社は生産者へ直接注文を行い、生産者が発送することから、複数の生産者への注文は別々に配達されます。
- 株式会社ビビッドガーデン
株式会社ビビッドガーデンが「食べチョク」を運営しています。生産者へしっかり利益を還元し、持続可能な一次産業となることを目指しているようです。生産者が発送するため、収穫から到着までの期間が短く、新鮮な食材が届きます。スーパーに並ばない食品や不格好な野菜などが販売されます。
- 株式会社ポケットマルシェ
全国の農家、漁師から直接食材を購入できるアプリを運営しています。生産者と消費者を直接繋がることで、生産者にはネット販売の知識・経験を身につける機会が提供され、消費者には作り手との交流や地域と繋がる機会が提供されます。
食材の宅配や、生産者から直接購入をすることは、サイトの使いやすさ、流通の方法、商品の質・種類など、今後もさまざまなサービスが発展していくものと思います。大手スーパーマーケットの配達、Amazonパントリー、その他食材の購買代行などとも競合する部分があります。消費者に好まれるサービスが何なのか、注視していきたいと思います。
2013年にこの会社とパートナーとなったセコイア・キャピタルについては、下記のコラムで記載していますので、ご興味がありましたらご覧ください。その他のポートフォリオも順次、ご紹介していきます。
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